バスパワー(電源不要)のポータブルHDDはUSBから給電して動作していますが、分解してみて「あれ?」と思った事があったのでメモしておきます。
ポータブルHDDとして使っていた2.5インチHDD
HGSTの「HTS721010A9E630」です。
バスパワーのポータブルHDDとして使っていたもので、2.5インチだと5400rpm前後の低回転のものが多いですが、これは7200rpmとデスクトップ向けと同じ回転数です。
このためか速度も出るのでお気に入りのHDDでした。
ハードディスクのラベルを見ると、「5V 800mA」とあります。
スペックシートを見ると以下のようにあります。
800mAに相当する箇所がないのは、恐らく800mAというのは定格消費電力だからだと思います。
Startup peak | 5.5W(1.1A) |
Seek | 2.1W(420mA) |
Read/Write | 1.8W(360mA) |
Performance idle | 1.7W(340mA) |
Active idle | 1.0W(200mA) |
Low power idle | 0.8W(160mA) |
Standby | 0.2W(40mA) |
Sleep | 0.1W(20mA) |
上記のHDDはUSB2.0接続で使っており、USB2.0は「500mA」までのはずですが、「Startup Peak」の欄(HDD接続時は回転し始めるため消費電力が大きくなる|スピンアップ)には、「5.5W」とあり、USBは5Vなので「1.1A」です。
USB2.0の最大消費電力を超えています。
USBが本気を出したのかと思いましたが、恐らくHDDケース側で一時的に蓄える(コンデンサなどで)仕組みがあり、一時的な増大程度であれば問題なく動作するようになっているのでしょう。
初回のピークを超えてしまえば、Seek(ヘッドの移動)で420mA、Read/Write(読み込み/書き込み)で360mAなのでUSB2.0の電力でも十分まかなえます。
2.5インチハードディスクでも、ピークが500mA以下のものは見つからなかったので、こういった仕組みは当たり前なのかなと思います。
3.5インチHDD
3.5インチのHDDも見てみます。
同じようにHDDのラベルと見ると、「+5V 0.75A」と「+12V 0.75A」の2つが記載されています。
このように3.5インチのハードディスクでは5Vと12Vの両方が必要なため、USB(5V)のみで動作するバスパワーの製品はありません。
仮にロスなく昇圧しても、USB3.0でもお手上げな消費電力です。
2.5インチSAS(番外)
SAS(Serial Attached SCSI)は主にサーバー向けのインターフェイスで、古くから合ったSCSIの後継です。
回転数も「10000rpm」と一般的なデスクトップ向けの「7200rpm」より高回転で、さらに上だと「18000rpm」という製品もあります。
2.5インチといってもポータブル用途に使われるものでないため、5Vと12Vの両方が必要です。
12Vは0.4Aとやや控えめなものの、5Vは0.8Aとデスクトップ向けと同じくらいです。
インターフェイスはこんな感じ。
SATAとほぼ同じですが、SASは電源と信号の間にも、隙間なく信号コネクタがあるのが特徴です。
基盤もSATAと比べると大きく全面にありますが、大量の書き込みが発生してもCPUの負荷が上がりにくく、信頼性が高いのが特徴です。
反対側もこんな感じです。
新品だと1個のSASハードディスクで、ローエンドなパソコンが一式買えるくらいの値段がするため、中古しか使ったことがないですが、とにかく頑丈で24時間動作させても壊れません。
3.5インチSCSI(番外)
以前使ってたサーバー用のHDDもあったので、ちょっと古いですが撮影。
回転数は15000rpmなので、デスクトップ向けの2倍です。
スピンアップの音も凄く、「キーーーーン」という音がジェットエンジンみたいで、かっこいいです。
電流も「5V 0.8A」、「12V 1.2A」と横綱クラス。
インターフェイスはこんな感じ。
昔からパソコンを触ってる人には、懐かしさを感じるインターフェイスですね。
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